長らく休止しておりましたオーディオ系イベント。晴れてここに復活でございます。お待たせ致しました。
さて今回はS壱号肝いりの企画。「PCオーディオ最大の関門。”I/F絡みのノイズと徹底的に対峙する”」をテーマにお送りしました。オリオスペックらしいネタと云えば仰るとおりかもしれませんね。
イベント当日ご参加頂いたお客様は最終的に20名ほどに至りました。PC側の技術志向が大変強いイベント趣旨から、ハイレゾやDSDを初めとした高音質ファイル再生を日常的に行ってるパワーユーザー層のお客様がそのすべてです。そして今回は音元出版の記者の方もイベント模様の取材に訪れてくださいました。(Netaudio vol.26 P90にレポート掲載あります)
お客様も私どもも大変に盛り上がりまして、当初14時~16時の予定が1時間半延長の17時30分終了となりました。終了後も多くのお客様がお帰りにならず、そこからもワイワイガヤガヤ。お客様どおしの交流も発生しまして、まるで社交場のようです。会場内の一体感。和やかな雰囲気。コールアンドレスポンス(笑)。大変嬉しい反応を見せてくださった事実を思い、企画サイドとしては喜びを噛みしめております。皆様ありがとうございました。
イベント当日は以下の形で構成・進行しました。
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▽第一部
「JCAT USBCARD FEMTO(PCオーディオ向USBポート増設カード)のご紹介と試聴」
「その他のPCオーディオ向USBノイズ対策アクセサリーの比較試聴」
“PCオーディオファンへの究極ソリューション” JCAT USBCARD FEMTOを筆頭に、現在話題のPCオーディオ向USBノイズ対策製品を一堂に集めご体験頂きました。
JCAT USBCARD FEMTOについては特に比較試聴の形をとりまして、Canarino Filesに乗せたJCAT USBCARD FEMTOのポートから出力した状態とマザーボードに標準搭載されている普通のUSBポートからの出力を比較対象にしました。ちなみにJCAT USBCARD FEMTOのフィルター設定はもちろんON、電源供給についてはレギュレーションした外部電源を利用しております。PC内部の電源を利用しないこの機能、FEMTOクロックの搭載に加えてJCATカードの売りのひとつでもあります。(詳しくはこちら)
聴き比べた後、お客様に変化の具合があったかどうか確認しましたところ、ほぼすべてのお客様が変化を感じとられたとの事。変化の具合を具体的に指摘しますと、静粛感が向上してサウンドステージが拡がる感覚です。オーディオ的視点で判断しますと、これは明らかに「良くなった」と言えるでしょう。
ちなみにこのカードのお値段、なんと¥62,640(税込)也! PCI ExpressのUSBポート増設カードとしては常識外れ。この手のアクセサリーを扱う私たちでも「マジか!」と唸るプライス(笑) しかしながらこのオーディオ的変化を感じますと、不思議ですね。「こりゃアリだな」っとも(笑) さすがにPCオーディオのために産まれたと言って過言じゃない、USB由来のノイズ対策に超絶凝りまくったUSBカード。オーディオってなんて言えばいいのでしょうねえ・・・魔物が住んでおりますよ。
JCAT USB CARD FEMTOをフル機能で使った際の実力をお確かめ頂いた後は、オリオスペックイベントでお馴染みのリクエストタイムです。お客様のご要望にお応えし、JCAT USBCARD FEMTOの先にJCAT USBアイソレータ―をぶら下げまして、JCAT二段構えでのご体験。実のところ、これはオリオスペックも初体験。サウンドを聴きながら、皆様うんうんと頷いていらっしゃいます。あ、意外といいかも。この違いにご興味おありの方、オリオスペックまでご来店ください。いつでも体験頂けるよう準備してお待ちしております。
JCAT二段構えのほかにも、空きUSBポートにiFI iSilencer3.0やAudioquest Jitter Bugを差し込む三段構えなども試してみた次第。お客様からもそれぞれのご感想が飛んで来まして、例のごとく会場のボルテージが上がって参りました(笑)
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▽第二部
「ハイレゾ音源配信サイト YAMAHA “mysound” のご紹介とその音源の試聴」
現在ハイレゾ配信サイトはいくつかあるのですが、実はヤマハミュージックエンターテインメントホールディングスさんが「mysound」というサービス名称でハイレゾ音源を配信されておられます。今回のイベントに合わせ、mysoundさんのご厚意でハイレゾ音源をあれやこれやご提供頂いたのですが、これがなかなかバリエーションに富んでおり魅力的。そんなわけで、mysoundさんのサービスと配信音源、試聴と共にご紹介いたしました。
mysoundサービス、ハイレゾ音源配信は比較的最近なのですが、着メロ等の音源配信の歴史は長く、知る人ぞ知る実績あるサービスなのでした。また、様々なジャンルを縦断した魅力的な音源が数多くラインナップされているのも特長です。例えばこんな具合。
「名曲と呼ばれる昔の音楽」
試聴音源:Stevie Wonder、QUEEN
※皆さんご存知的アーチストの名曲の数々が並んでおります。
「専門性が高く、入手しずらい音源」
試聴音源:The課題曲(吹奏楽のコンクール課題曲)
※S弐号感涙の吹奏楽音源、特にコンクールの課題曲なんてもうね。こういうのも網羅されてるのが特長です。
「昔のアニメ楽曲」
試聴音源:宇宙戦艦ヤマト
※これはオリオスペックの一部のお客様は大層喜ばれるかも。懐かしアニソンってタイトル見ると聴きたくなるものです。
「最近の楽曲」
試聴音源:Suchmos、モアナと伝説の海
※これはmysoundさんの名誉のために。最近話題となった楽曲も当然リリースされておりますよ。特にモアナと伝説の海は、映画音楽らしい音質も良好な音源であった事から響きの良さを体験して頂いた次第。
mysoundには魅力的な音源が数多くラインナップされておりまして、まるでハイレゾ音源の宝の山。こう見てみますと、クオリティの高いハイレゾ音源、黎明期と比してかなり多くの楽曲が提供されるようになったと感じます。CDリッピングの音源もよいのですが、魅力的な楽曲も多数ありますので、ハイレゾ音源の再生環境が整っていればこそ是非ともご体験頂ければ、と思う次第。皆様も是非アクセスしてご自身の興味のある楽曲を探し出してくださいね。
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▽第三部
「JPLAY(ハイレゾ向高音質再生ソフトウェア)のご紹介と設定実演、試聴」
さあ、ここからが今回最も物議を醸したネタでございます(笑) ハイレゾ系ユーザーの中でもPCをベースに音楽を楽しまれる方、その中でも特にPC技術に対するリテラシーが高いパワーユーザーに向けた実演です。云わば猛者。複雑で大変難易度の高いシステムとなるJPLAYは好事家の関心を特に集めておりますので、オリオスペックでもイベントで触れてみることにしました。
JPLAYで話題になっておるポイントはその設定パラメータでして、Engine:ULTRAsteam、DAC LINK:~350Hz、もしくは~700Hzを投入しつつ、いかにして安定的に動作させるのか?というところ。USBDACとの相性も去ることながらPCの個別環境にも影響が及ぶようで、皆様中々ご苦労されていらっしゃるそう。オリオスペックも、foobar2000+JPLAY・DAC LINK:~700Hzの安定動作を目標に掲げて、デュアルPC構成でのシステム構築を試みたのでございます。
奇しくも、Nmodeさんの新製品DAC “X-DP10” の試聴機が届きまして、内輪ではさらにボルテージが上がります。この新製品、DAC LINK:~350Hzや~700Hzの動作に適合させたドライバを用意したんだぜ!との触れ込み。
<JPLAY MODEのチェックボックスにご注目!>
案外とサックリいけちゃうんじゃないの? そんな我々に対してJPLAYは牙を剥きます。 ~350Hzまでは確かに上手く動くのですが、~700Hzがどうにも安定して動きません。持って再生時間が1分45秒程度。で、止まったらfoobar2000側のバッファをちょっと弄ってやれば続きからちゃんと音楽が流れてきて、やがてまた止まる。ノイズは一切なし。出てれば確かにいい音。結局のところ、イベント当日となった夜中0時になっても解決の目途が立たず。直前にも拘わらず、まだイベントの進行方法すら決めておりません。ずーっとこの障害回避に手をとられておったのですよ。
「・・・さすがにヤバいっすよ、これ」
「ヤバいよね、やっぱ」
「あと14時間でイベントはじまっちゃうんですけど」
「今さらヤメタって言えないよね?」
「言えないよねー。FacebookでJPLAYやるって言っちゃったんでしょ?」
「言っちゃたんだよ、勢いで。どうしよっか・・・」
「困ったよね、マジで」
オリオスペックPCオーディオイベント史上、最も絶望的な状況に至るS壱号とS弐号。ここで腹は決まります。
「もうさあ、『出来ませんでした!サーセン』しか無くね?」
「無いよねー、夜中に小人さんが直してくんない限り」
「『お恥ずかしながら苦戦した経過、すべてお見せします』って事にします?」
「あー!失敗しましたイベントって普通はやんないよねえ?」
「絶対やんないっすよw」
「面白いな、それ。オリオスペックっぽいじゃん、もうその線で強行」
という経緯を踏み、恥すら忍びつつ、JPLAY DAC LINK~700Hzの非安定動作に至る苦戦のすべてをご覧頂いた次第。ええ、我々もいちPCオーディオマニアの端くれに過ぎず。皆様とおんなじなのでございます。ちなみに、USBDACは2種類を使ってみました。ドライバ側バッファのパラメータチューンが細かく出来るMytekのManhattan1とJPLAYの極み動作にすら対応させているNmodeのX-DP10。両機で~350Hzの安定動作をご確認頂きつつ、我々がハマった~700Hzの不可解な挙動を皆様にもご覧頂いた次第。
イベント中、JPLAYのデュアルPCモードでDAC LINK~700Hzの安定動作を実現されたお客様からアドバイスを頂きました。「ウチはオーディオPC側のOSをWindows Severに変更したらサックリ行きましたよ」 本番ではお話しなかったのですが、折角ですので何故サーバOSにしなかったのか、その理由をここで(笑)
今回のPC構成、コントロールPC側・オーディオPC側共にOSはWindows10としました。オーディオPC側をWindows Serverにするのが一般的チョイスのようでしたので当初はそのつもりだったのです。が、ここで使うマシンのオンボードNICにドライバが当たらなかったのです。あれこれやってみたのですが上手くいかず。本来はここでNICの増設カードでも別挿しして回避できるのですが、今回の空きスロットは1つ。このスロットにはJCAT USBCARD FEMTOが挿さっております。このボードは今回のイベントの主役なので外すことが出来ません。マシンもCanarino Filesの利用が大前提でしたし。そもそもハードウェアリソースの要件が存在していた関係で、やむなくWindows10にて強行突破を図ったわけでございます。・・・でも、windows10どおしで出来たって方もいるのよねえ。ホント不思議。
DAC LINK ~700Hzのサウンド、1分45秒とはいえ とりあえずは聴けたわけです。とあるお客様曰く「このサウンド、いいねえ。今日は切れちゃったけど可能性を感じるよ。やっぱり耳にしちゃうと期待しちゃうよね」と。実は私たちもそう感じておりました。JPLAYのサウンドって、PCオーディオで実現するサウンドクオリティを新しい次元に引き上げてくれる可能性を感じます。
不可解な挙動を追っていくのも、苦労ありつつ実は結構楽しかったりしました。リソースモニターやイベントログを観察しつつ、JPLAYの設定画面でパラメータを見つめてその振舞いを考えてみたりとか。それは、昔自作マシンを組んでた時のような感覚。サウンドクオリティだけでなく自ら細かく手を加えていけるという点も、JPLAYの持つ楽しさのひとつの様に感じます。踏まえまして、イベント中はお客様との情報交換が始まったり、色々教えて頂いたりと、お客様とお店というより同好の士との会話の場となりました。同じ目線でお客様と接する事が出来たこのイベント、私たちにとりましても大変楽しいひととき。これも一重に出展者側の失敗すら許容してくださり、「そんなのも楽しいよ!」と仰ってくださるお客様の懐の深さ、その賜物でございます。心より感謝致しております。
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と言う事で、支離滅裂になりましたが、今回のイベントのご報告とさせて頂きます。まともなイベント報告記はNetaudio誌 Vol.26をご覧いただけますと幸いです。すごくよくまとまった記事になっておりますので是非。オリオスペックでも販売しております(こちら)(笑)