「やっぱスピーカーで聴こうぜ!」 ~ 音楽リスニングのためのBluetoothスピーカーことはじめ

STAFF :  S弐号

ここ最近を思うと、ホント世の中変わっちゃったなあと思わざるを得ないのです。「音楽の流通形態がApple MusicやLINE Music、Spotifyようなサブスクリプションサービスに主軸を移そうとしている」なんて話題もそうですし、スマホからイヤフォン端子が排斥されて、いつの間にかプレーヤー側がワイヤレスイヤフォンの使用前提になっている始末。「まじかー」 ただただ溜息をつく。今、悲哀溢れるオジサン真っ盛り。

 

さて、世間様がそうなりますと、音楽を楽しむスタイルやそれに伴うハードウェアはこれまでと大きく変わっていくのが世の常なわけです。今やスマホやタブレットをプレーヤーの母艦として、且つ完全ワイヤレスでレイアウトフリー・ロケーションフリーに。これは、オーディオマニアとは異なるセグメントである一般的音楽リスナーの皆様にとっての影響やメリットの方が顕著となりましょう。

 

ということで、今回はBluetoothスピーカーについて触れてみたいと思います。

 

スマートフォンやタブレットとの間で各種の周辺デバイスをワイヤレス接続する際に利用されるのがBluetoothでありまして、WiFiと異なるのは “基本的にスマホとデバイスが一対一の関係で接続される志向”の仕組みです。(最近は一対一接続の制限に囚われない製品もリリースされてきたようですね) もちろん音楽リスニングのためのイヤフォンやヘッドフォン、今回テーマのスピーカーだって同様のワイヤレスなBluetooth接続が可能であります。再生側端末(スマホ)とデバイス(Bluetoothスピーカー)間の通信安定性確保の観点から、両者の距離は規格上の上限値である10m(目安)よりももっと近い距離で利用するのが好ましいでしょう。だって、音楽を途切れ途切れになんかさせたくないですよね?(Bluetoothにおける最大出力/通信距離に関する規格、CLASS2に準拠の製品の場合。一般的にBluetoothスピーカーやBluetoothヘッドフォンはCLASS2準拠が多いようです)

 

さて、ここでスピーカーをはじめとしたオーディオデバイスを “音楽リスニング用途で” Bluetooth接続する際のポイントについて。製品を選ぶ時には、以下の要件を満たした製品であるか否かをチェックしてみると宜しいでしょう。きっと音楽をより心地よく楽しめるようになると思います。

 

チェックポイントは、スピーカーなどのオーディオデバイスが以下の要件に対応しているかどうか、です。
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・iPhone/iOS機器を利用する場合:AAC対応
・Androidを利用する場合:aptX対応、もしくはaptX HD対応
・SONY Walkmanや比較的新しいXperiaを利用する場合:aptX/aptX HD対応、もしくはLDAC対応
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<画像:Bluetoothスピーカーのスペックシートを眺めるときのチェックポイント>

 

通常Bluetoothで音声通信(音楽リスニング用途以外での音声通信も含む)を行う場合、SBCというコーデックを使用して音声データのやりとりを実行する事がベーシックです。コーデックと言うのはちょっとヤヤコシイのですが、Bluetooth上でデータを効率よくやりとりするための仕組みのひとつみたいなものでして、この場合は、無線になっているBluetoothの線路の上に、音声を載せるSBCという電車が走っているような感覚で超大雑把に捉えて頂けると良いと思います。前述のAACとかaptX/aptX HDとか、LDACと呼ばれるものもこの電車の一種類に当たりまして、普通列車の様なSBCよりももっと音楽データがゆったり快適に座れる、ラグジュアリーな急行列車とか特急列車のようなもの、と解釈して頂けますと結構です。通勤電車的ロングシートな自由席よりも、回転式リクライニングシートな特急の指定席とかグリーン席のほうが、実際リッチでゆったり出来ますよね。

 

また上手く出来ているのが、スマホなどの音楽を再生する機器とスピーカーなどのサウンドデバイスの双方がこれらの急行電車や特急列車の規格に対応していますと、機械同士がオートで最も好ましい種別の列車を走らせてくれる事。つまり、スマホからスピーカーに対してBluetoothのペアリングを設定しただけで、私たちはコーデックを意識する事無くベストなリスニングが可能になります。と言う事は、「とにかくBluetoothスピーカーを選ぶときだけに注意を向ければよろしい」というお話ですね。

 

いつものアプリやサービスで気になる音楽をよりノビノビとリッチに楽しむため、オーディオデバイスは上記の音楽リスニングに特化したコーデック対応のBluetooth製品をご選択なさるのが良策と言えましょう。

 

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余談としまして。
コーデックによるサウンドの差異を確認してみたい方、お手元にSONY Walkmanがあれば出来るかもしれません。ちなみに手元のNW-A17では、SBC/aptX/LDACの任意設定が可能でした。驚きの声が出るほどに結構な変化が生じますので、お興味おありの方は是非お試しくださいね。
(NW-A17の場合:各種設定⇒Bluetooth設定⇒ワイヤレス品質設定⇒マニュアル選択で実行)
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さて、具体的な製品を見ていきましょう。

 

今回ご紹介するにあたり、価格や大きさを問わずかなり多くのBluetoothスピーカーを試用してみたのです。現時点の市場ではaptXやaptXHDなど高音質の実現を狙うコーデックを“実装したモデル”と“そうでないモデル”が実のところ混在している状況。その実装すら、高額モデルであれば高音質コーデックにもれなく対応しているわけでもなく、「価格帯に紐づくわけじゃない現実」に少々驚きました。一般的にオーディオ製品による価格レンジの違いはグレードの差を指し示し、機能や総合的なクオリティにおいて差別化が図られていると捉えてよいはずなのですが・・・。

 

ちなみに高音質コーデックで聴くところのサウンドは、艶やかさを始めとして“音楽の鮮度”を間違いなく上手く表現し耳に届けてくれます。洋服でいうところの“上質感溢れる生地質”という感じでしょうか。それって、デザインはそっくりでも感性での満足度にやはり大きく変化を与えるところ。不思議と高額なモデルであっても高音質コーデックに対応していない機器で同じ楽曲を聴き比べてみると、どうにも冴えないと言いますか、艶や密度に乏しいサウンドがなんとも寂しく、また物足りなく感じてしまうのです。スピーカーそのものの価格差(投下コスト差)から生じる、「ある意味において止む得ないパーツクオリティやビルトクオリティの差」よりも、もっと大きな影響を及ぼしているかように感じたのが衝撃でした。従いまして、現時点においてBluetoothスピーカーを検討する場合においては、価格レンジを問わず高音質コーデックに対応したモデルからチョイスするスタンスが正直好ましいであろう、と率直に思いました。

 

では、数多くの試聴機の中から「おお、これはいいぞ!」と電撃が走ったモデルを厳選してリコメンド致します。

 

 

▽Fender NEWPORT

 

 

パッケージング、サウンド、これは本当に素晴らしい。ビンテージデザインに始まり、サイズやファンクションに至るミニマリストアプローチの魅力。AndroidでもiPhoneでもプラットフォーム問わずもれなく恩恵を被る、aptXやAACの高音質コーデックにももちろん対応。「必要にして十分」、節度を持った製品の総合力に魅了されたのは本当に久しぶりな気がして、私もちょっと興奮気味です(笑)

 

ここの評価点を書き連ねていきますと・・。

 

【サウンド】

モノラル再生であることを逆手に取って、いい塩梅に割り切ったサウンドチューン。必要以上に細かな音とか度を越した透明感の様なハイファイサウンドをあえて狙わず、音楽の枠組みをしっかり捉えて楽しく聴かせようとする志向が素晴らしい。質感はトゲトゲしく無くあくまでジェントルに、音楽の味わい溢れる厚めのミッドレンジと起伏を上手に表現する無理ない低域。小さなこんなボディで、夜中の小音量再生から二部屋位をサービスエリアにしたBGMマシンとしてもしっかり適用可能です。お掃除、お洗濯、家事のお共なんかそれこそ最高かも。BGMとしても会話を邪魔せずにちゃんと耳に届きます。「聴かされるサウンド」ではなく「耳に馴染む音楽」。

 

【機能】

操作上必要最小限のハードウェアキーやトグルスイッチによるコントロールファンクション。造りの良い回転式ツマミよる音量ボリューム、高音/低音調整。直観的で分かりやすく、実際とっても使いやすいです。Bluetoothペアリングの方法も簡単。Bluetoothスピーカーの機能調整(ex. 高音域/低音域の加減調整、音量調整、音場調整)を機器の専用アプリを介して行わせるような “ちょっと凝ろうと目論んだモデル”も世の中には存在するのですが、思うとBluetoothスピーカーの最大の魅力は「手軽さ」。凝った機能よりもシンプルでイージーなオペレーションが実は最も適しているな、と今回の試聴で実感しました。その点でこのFender NEWPORTのコンセプトはまことにお見事。背面のアナログ入力端子から音声入力も可能ですので、Bluetooth機器だけに留まらず様々な機器との接続も可能ですよ。

 

【ビルトクオリティと可搬性】

何処でも置けて、どこへも片手でひょいと持っていける大きさと適度な重さ。片手で掴め、持ち運びが苦にならない大きさや重量はとても大切なのですが、“モノとしての格”は適度な重さが必要で、軽すぎたとしたら逆効果。簡単なようで実現が難しいこの重量問題、Fender NEWPORTは実にバランスよく仕上げられていますね。高い持ち運びの自由度を担保する「AC/バッテリーの二電源方式」と相まって、部屋の移動に始まり、外への持ち出しもラクラクです。これ一台でリビングからはじまり、寝室や子供部屋を例とした個別ルーム、ガレージ、果てにはお外へも・・・あなたの思いつき次第で利用エリアはどんどん拡がるはず。(バッテリーは、充電3時間で12時間動作がスペック上の表記。これ、アンプ内蔵スピーカーとしては結構長い印象です。)

 

<画像:左からACアダプター用端子、アナログ外部入力端子、スマホ充電用USB端子>

 

【デザイン】

クロムの金属グリルに適度なラウンドを設けた筐体は、ちょっと小洒落たスモールアンティックラジオ風。レトロ感溢れる金属のトグルスイッチやセルロイドを思わせるボリューム・トーンコントロールノブもそんなイメージ通り。カッコイイし、適切な操作感は自らの手で操作する充実を誘います。一瞬価格を疑う質感の高さで、少し派手さを抑えた彩りにセンスのよさがほんのりと漂う。部屋の中のちょっとしたスペースにさりげなく置きたくなるのです。遊びに来たお友達に「あそこにあるカワイイの、アレなに?」と尋ねられる画が浮かぶよう。

 

<レトロ感溢れるツマミとスイッチ。左端のPAIRボタンを押下してスマホとペアリング>

 

これで25,000円でおつりが来ちゃいます。Fender NEWPORTのシンプルが故の魅力を知ってしまいますと、価格帯を問わず他のモデルは何かが足りなく思えてしまって。是非これは一度聴いてみて頂きたいな、と思うのです。

 

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Fender NEWPORT の製品情報と販売ページは “こちら” からどうぞ
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FOSTEX PC1BT

 

 

「やっぱりハイファイ調なサウンドで聴きたいよ、お手軽なBluetoothでも」と仰る方には迷わずこれでしょう。従来のオーディオにちょい足し出来る、スピーカーレスの超スモールサイズなBluetoothレシーバーです。もちろんaptXやAACに対応しています。ハイファイ調のサウンドを求めるとなると、やっぱりアンプ+スピーカーのオーディオシステムをベースに実現するのがうってつけ。高音質コーデックの効果も存分に発揮されるはず。今お手元にステレオをお持ちであるならば、オーディオシステムのアンプに対し、音声用ラインケーブルを使ってこのPC1BTを接続させるだけでステレオのBluetooth化が完了します。

 

手のひらに乗っけて指で握ると隠れてしまいそうなサイズですので、置き場所も困らないかと。電源はスマホ用充電器スタイルなACアダプター式。PC1BTにもボリュームノブがありますので、接続したBluetooth機器のボリュームに加え、PC1BT本体でも音量調整が可能。操作部はこのボリュームノブとBluetoothのペアリングボタンしかありませんから、これもラクラクオペレーション。

 

<赤白のLINEケーブルから小ささがわかるはず。LINKボタンを押下してペアリング>

 

「ちょっとした時にメインのオーディオでも、スマホやタブレットをBluetooth接続したくなるんだよね」と仰るオーディオマニアの方も実は結構いらっしゃいまして、そんなニーズをお持ちの方に評判のいい製品です。その価格、7000円でおつりが来ます。実のところ、当店では地味ながらもコンスタントに売れ続けている隠れたヒット商品なんですよ。

 

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FOSTEX PC1BT の製品情報と販売ページは “こちら” からどうぞ
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▽まとめ

今やBluetoothを介した音楽リスニングは、ヘッドフォンやイヤフォンでもスピーカーでも一般的なスタイルになろうとしています。「線が無い」とはストレスフリーであって、それは手軽さの象徴。イージーな中にも一定のサウンドクオリティを確保できるワイヤレス伝送技術も今や熟成に至りまして、「手軽さと質」を両立できるよい頃合いになりました。現在市場で様々な志向のBluetoothスピーカーが乱立する中、“Bluetoothにおける高音質コーデック”をキーワードに、あなたにとって最も魅力的なBluetoothスピーカーを選んでみてはいかがでしょう。そんな「ちょっとした拘り」は、日々の音楽と寄り添う生活に 幾ばくかのみずみずしい潤いを与えてくれると思うのです。

 

 

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